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マスターは美術系の大学を卒業した後は自分で描くよりも作品の収集が趣味になったようで、昔から集めてきた作品ばかりを店の至る所に飾っている。
だから、初めてこの店に入ってきた人の口からは「スゴイ」の一言が必ずと言っていい程出るもんだ。
そんな当たり前に出てしまう“何度も耳にした感想の言葉”でも、マスターは誇らしげに笑って自慢げに語りだすのだ。
「…それじゃ俺、仕事入るんで」
カウンターで語り合う二人を尻目に、俺は店の奥にある事務所に向かって歩きだした。
「そうだ、どんな感じで仕事しているか見ていくといい!
いいだろう? 十夜くん」
「どーぞー、ご自由に」
背を向けたまま返事をして事務所に入った。
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