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「あ…、すみません…」
俺はあっけに取られた表情をしていた少年に謝った。
「なんだい、その子新人さんかい?」
「あぁ、さっき面接が終わったばかりでねぇ、手本に十夜くんを見てもらってるんだ」
「ははは、そうかい!
でも十夜くんはレベル高いよぉ?なぁ?」
マスターが煎れたばかりのコーヒーを片手に笑う彼に、俺は苦笑する。
「そんなに誉めてもらっても、何もでないですよー?」
「はははは…!」
皆の笑い声に包まれる。
常連客たちとのいつもと変わらぬ和やかな時間が過ぎて11時半を回ると、昼休みを向かえた近くのショップの従業員をはじめ、女性客を中心とした多くの客が来店し始める。
それより少し前に、家事を済ませて来たマスターの奥さんと、シェフのバイト・高山さんと谷さんが出勤してきて厨房に入った。
今日は土曜日ということもあり、大通り添いに立ち並んだ数多くのショップで買い物をした客が、昼時になってCanvas.に多く流れてきている。
代わりに平日は近くの会社員や主婦、小さい子供を連れたお母さん仲間なんてのが来店して、ランチやコーヒーを楽しんでいる。
4人の料理人が作る味は多くのリピーターがいて、食事と共に世間話も盛り上がり、店内はいつも明るく楽しい空間だ。
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