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閉じていた目蓋をふっと開く。
梅雨の雨雲の切れ目から白く眩しい陽の光が差し込み、花壇一面に咲いた紫陽花を照らす。
「晴れてきたなぁ…」
停めたバイクにまたがったまま、俺は雲の切れ目に見えた青色の空をぼんやりと眺めていた。
山を抜けてきた海風が優しく頬を撫でる。
この時期としては珍しくひんやりとした爽やかな風だが、夏はもうすぐそこだ。
「お兄ちゃん!」
呼ばれて振り返ると、薬の入った大きな紙袋をしっかりと抱えた少女が小走りでこちらに向かってきた。
陽の光に反射して輝く色とりどりの紫陽花の中、風になびく白い服がとても美しく見えた。
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