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数分後。浜辺沿いの道路に着き、バイクを停めて浜辺に降りた。
30分程前まで雨が降っていたせいか砂は硬かったが、紗夜はそんな事に構うことなく波打ち際へと駆けて行った。
俺は紗夜を歩いて追い掛ける。
波打ち際で足を止めた紗夜は両手を後ろで組んで深呼吸する。
「はぁー、いい香り。 やっぱり海はいいよね!」
「ったく、はしゃいで……まだまだ子供だなぁお前は」
「もう! 私16だよ?」
「俺からすればまだまだ子供さぁ、少なくとも犬に吠えられてビビッてる所とか…な?」
「そっ…、それとこれとは関係ないよ…」
恥ずかしそうに頬を赤らめる紗夜、その頭を俺は笑いながら撫でた。
――海風が優しい潮の香りと共に吹き抜ける。
俺と紗夜は、陽の光に照らされてキラキラと輝く海を見つめた。
揺れる白波が足下にまでその輝きを運ぶ。
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