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二人共しばらく黙って水平線を見つめていたが、俺は隣の紗夜に目をやる。
「………。」
その表情を見た俺も再び海に視線を戻し、紗夜が海の向こうに見ているモノを、俺も一緒に思い浮べた。
「さてっ……」
沈黙を破り、紗夜が砂浜を歩きだす。
「うーんと……あるかなぁ」
また“子供のように”砂の中に何かを探し始めた紗夜を見て、俺は自然と笑みがこぼれた。
“子供のように”なんて思ったが、海からの光の反射もあいまってか、その白い姿はとても純粋ですがすがしい。
「あっ! お兄ちゃん、これどうかな?」
少し濡れた砂浜から白い貝殻を手に取っていた。
「あぁ、いいんじゃないか?
そんなに小さくないし、色も綺麗だな」
「うん!」
満面の笑みを返した紗夜は、他にも小さな貝殻をいくつか拾って俺の所に戻ってきた。
「それじゃそろそろ帰るか」
「うん、そうだね」
紗夜は貝殻を大事そうにバックにしまい、俺と紗夜は再びバイクに乗って輝く海を後にした。
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