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――二人乗りのバイクが海風を切る――。
次第に遠くなっていく海を名残惜しそうに見つめていた紗夜が言った。
「お兄ちゃん!」
風が強いせいで声を張り上げて俺を呼ぶ。
「ん? どうした!」
「今日も ありがとうね!」
「ははっ 何言ってんだよ、当たり前だろー!」
「ふふっ」
――俺の背で嬉しそうに笑う紗夜を感じて、俺も嬉しかった。
そう、当たり前だ。
この兄妹のやりとりが、これからもずっと続いていくものだと……
俺は信じて疑わなかった―――。
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