『右側』

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さて、なんやかんやで親より心配してくれた弟が次に言い出したのは なんとも突拍子もない事だった。 「母さん、俺の来月のお小遣い前払いして」 ※シュンはこの時中学3年生 ※我が家は中学生まで月払いのお小遣い制度 「あとさ、今週の土日に●●県の〇〇神社行きたいんだけど、姉ちゃん連れて」 これには流石に母も驚いた様子で、私の今の状態なら土日もきっと松葉杖だ。はっきり言って遠出なんてしたくない。しかもこの口振りだと、自宅の車じゃなく新幹線や電車などの交通を使う気らしい。私と弟だけで。 母「〇〇神社って、ケイもシュンも幼稚園生だった時に住んでた場所よね?なんでまた?」 私の家は転勤族で、小さい頃から何度も引っ越しを繰返し、私が高校に上がったと同時に編入試験は面倒だからと父に着いて行くのを止めた。 父は最後まで着いてきて欲しそうだったけど、そこはゴメンねという事で。笑 母の質問に対してシュンは特に弁解も無く。ただ行きたいのだとだけ強く主張した。 「私も行かなきゃダメなの?」 「姉ちゃんが当事者なの!!」 「そ、そんな怒んなくてもいいじゃーん…」 そんな弟の様子を、暫く考えた母は「しょうがないわね」と笑って了承してくれた。但し母の車で。(そりゃそうだ) 毎回よく無茶を言うシュンだけれど、無茶を遠慮なく言えるのはこの母有きなんじゃないだろうか。 母は良い意味の放任主義で、包容力も抜群だと思う。こんな母親に私もなりたいなあ…なんちゃって。
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