292人が本棚に入れています
本棚に追加
境内の中は、なんとなく肌寒いような気がしていた。
それは『気づいてしまった』からで、何も知らない状態なら何とも感じてはいなかっただろうと思う。
私は随分と単純な人間だ。
神社の鳥井を過ぎて、本殿に上がる為の階段がある場所を右に曲がり小路に入る。
そこは何もないスペースだが、子供心にそのこじんまりしたスペースが秘密基地のようで、よくここで遊んだものだと懐かしくなる。
そういえば…
「ねぇシュン。ここで蛇見付けたの覚えてる?あの黄色っぽい蛇」
図鑑で調べたりしたけど、同一だと思われる種類を見つける事が出来なかった。
記憶は薄れているけれど、黄色と白を混ぜたような色をしていて。長さは多分30cm(子供目線だから、今から思えばもっと小さかったのかもしれない)
今も昔も爬虫類は嫌いじゃなく、余裕綽々で掴んじゃうような子だった私は
その蛇を見て、変わった物を見付けたと大喜びだった。
今更ながら毒があったらどうするんだとも思うが、臆する事なく掴み上げて友達やシュンと喜んでいたなあ。
そんな思い出話をしている横で、シュンはその大きな鞄から何やら色々取り出していていた。
取り出したのは、木彫りの小さなリスの人形。
そして、太めで1mぐらいある縄。
…縄。
「シュン…姉ちゃんにはそんな趣味はないよ」
「……」
冗談なのにものすごく睨まれました
最初のコメントを投稿しよう!