292人が本棚に入れています
本棚に追加
「蛇、覚えてるよ」
「でしょー。家で飼おうと思って一回帰って、戻ってきたら居なくなってて残念だったよねー。なんていう蛇だったのかな?」
私の疑問にシュンはしれっと答えた
「あれ、生き物じゃないし」
そのままシュンは鞄から狭めのレジャーシートを取り出して、私をそこへ座らせた。立っているのが辛いだろうという配慮らしい。
私はシュンの言葉の意味が飲み込めず、大人しく言われるがままに座った。
長年の付き合いで、こういう時は素直に従わなければならないと知っている
次にシュンはその縄の端を私に右手で握らせ、そのままぐるぐると肘上まで巻いていく。最後に取れないようにかセロテープでピッと止めた。
「…こ、これは何?なにすんの??」
「姉ちゃんは何もしなくていいよ。ただ思い込んでくれればいい」
「お、思い込む?」
「これは『蛇』。姉ちゃんが握ってるのが頭の下らへん。イメージは首っぽいとこ」
「蛇に首なんてあんの…?」
「イメージだってば。そこらへん握ってるイメージ。
姉ちゃんは蛇を握ってて、蛇は胴体を右腕に巻き付けてる、イメージ。」
一体何をしようというのか。
私にはサッパリで、縄とシュンを交互に見るけど、不安はどうしても隠せない。
イメージって言われても、いきなりすぎて訳が分からない。
シュン、シュンってば!
不安が大きくなってシュンを呼べば、シュンは大きくため息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!