『右側』

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「蛇、覚えてるよ」 「でしょー。家で飼おうと思って一回帰って、戻ってきたら居なくなってて残念だったよねー。なんていう蛇だったのかな?」 私の疑問にシュンはしれっと答えた 「あれ、生き物じゃないし」 そのままシュンは鞄から狭めのレジャーシートを取り出して、私をそこへ座らせた。立っているのが辛いだろうという配慮らしい。 私はシュンの言葉の意味が飲み込めず、大人しく言われるがままに座った。 長年の付き合いで、こういう時は素直に従わなければならないと知っている 次にシュンはその縄の端を私に右手で握らせ、そのままぐるぐると肘上まで巻いていく。最後に取れないようにかセロテープでピッと止めた。 「…こ、これは何?なにすんの??」 「姉ちゃんは何もしなくていいよ。ただ思い込んでくれればいい」 「お、思い込む?」 「これは『蛇』。姉ちゃんが握ってるのが頭の下らへん。イメージは首っぽいとこ」 「蛇に首なんてあんの…?」 「イメージだってば。そこらへん握ってるイメージ。 姉ちゃんは蛇を握ってて、蛇は胴体を右腕に巻き付けてる、イメージ。」 一体何をしようというのか。 私にはサッパリで、縄とシュンを交互に見るけど、不安はどうしても隠せない。 イメージって言われても、いきなりすぎて訳が分からない。 シュン、シュンってば! 不安が大きくなってシュンを呼べば、シュンは大きくため息を吐いた。
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