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「イメージ出来ない?」
「そりゃ、急に言われたらね」
「じゃ、思い出してみてよ。此処で蛇を見付けた姉ちゃんは、右手で蛇を掴んだでしょ。右利きだから」
「え?うーん…そうだっけ…」
「そしたら蛇は本能で腕に巻き付く。」
「……うん」
「その縄はその時の蛇だとして。色は?感触は?温度は?」
シュンに言われて、思い出してみる。
色は、黄色っぽい白色
感触は、なんとなく柔らかい気がする。ぶにゅっとしてた。
温度?温度はー…うーん
「姉ちゃん、蛇は段々と締め付けを強くする。まだ痛くない。でもギュッてなってくる」
「……」
「舌がシュルシュルと出たり入ったり。締め付けはまた強くなる」
「……っ」
「締め付けはさらに強く、なった」
シュンの言葉がまるで暗示みたいに私に入ってくる。
段々と回りの音が遠退くような気がした。
貧血を起こした時みたいだ。
(これは、あの時の蛇)
「―――――っっ」
その途端。
私は声にならない声で叫んだ。
「―――っ痛ァ!!いたいっいたいっ!!」
「シュン!!痛いよっ縄取って!!!」
ギュルギュルと右腕に巻かれた縄が、私の腕を本当に締め付け始めたのだ
血管が圧迫されて指先が冷たい。
力が入らなくて、握っていた縄を離す。
けれども何故か、縄は手から滑り落ちる事はなかった。
「シュン!痛い痛い痛い!腕もげちゃうってばァっ!!!」
痛みからシュンに勢いよく見上げると、シュンはただジッとそれを見ているだけだった。
(助けてくれない!)
情けなくもそう思った私は空いてる左手で縄を引き剥がそうとするが、セロテープをびりっと剥がしても縄はほどける事はなかった。
(なんでっ!!なんでなんで痛い痛い痛い!!!!!!!)
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