『右側』

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微動だにしないリスの置物(そりゃそうだ)をシュンは大事に拾い上げた。 抱えるようにして、まるでもっと大きな物を抱いているように見えた。 「それ…どうすんの?」 「どうも出来ない。ここの神主さんに話して、暮れにお炊き上げしてもらう」 「それで大丈夫なの?」 「知らないよ。けど神主さんなら扱いを心得てるだろうから、悪いようにはしないだろ。そこは専門家に任せる」 「…無責任じゃない?」 「うっせーよ。言ったじゃん。俺にはどうにも出来ないんだって。この蛇だって、悪霊とかそんなんじゃない。害を与える気なんてないんだよ」 ただ、助けて欲しかっただけ。 シュンは、どこか悲しそうにそう呟いた。
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