『右側』

18/22
前へ
/139ページ
次へ
でも、こう言ってはなんだが 蛇に感情なんてあるのだろうか? 憎いとか恨めしいとか。 そう言った感情があるのだとしたら、飼育されている蛇達はそれはもう苦しくて窮屈な思いばかりだろう。 「そりゃあ有るでしょ。」 「まじで?」 「ただし、生存本能っていう感情だけどね。人間以外の生き物は『生きる事』に必死だよ」 ああ成る程、と思った。 生物は生きる事に、子孫を残す事に貪欲だ。 けれどもシュンの言うように、人間という生き物は自分の命を自分で握っている。それはまあ当然か。 人間は、動物で言う所の生存本能が薄いのだとシュンは言う。 私はそれに素直に頷けないけれど、やっぱり自殺という事をするのは人間独自の命の終わらせ方なんだ。 動物に自殺なんていう概念は存在しない。 けど多分、私が『嫌だな』と思う自殺と、シュンが『嫌だな』と思う自殺は、まったくの別物なのだ。 シュンは『見えてしまう』から。 まあその事に関しては、また別の機械にでも書こうと思う。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

292人が本棚に入れています
本棚に追加