5人が本棚に入れています
本棚に追加
フリーの傭兵クロニカ・レメディアは依頼通り海底レリクスへとやってきていた。
キャストの男性傭兵が一人、隣に立って話を始めた。
「……これだけの人数が集まってるってことは、大手のスポンサーがついてるようだな」
それはクロニカも思っていた。
名の知れた傭兵などもいる。
「久々にもうけられそうだ」
二度頷くと、隣の傭兵はクロニカの方を向く。
「ほう、どうやらお前も傭兵のようだな」
苦笑で頷くクロニカ。
「所属なしですけどね?」
「所属なしってことは、フリーか?そりゃ大したもんだ」
褒めてもらって嬉しいからか、笑ってありがとうございますと礼を言う。
「ま、場所が場所ってこともあって腕利きを集めているかもな」
確かにそうだ。
この海底レリクスは発見されたばかり、安全なこのあたりから先は、未開の地というわけらしい。
「帰ろ、帰ろうって!」
なんだか場にそぐわない可愛らしい声が聞こえた。
傭兵が怪訝な顔をする。
「……なんだ、あの子供は?腕利きの傭兵のようにはとても見えないが……」
見ると、ヒューマンの少女がビーストの男がに駄々をこねていた。
「ここレリクスでしょ、本気でヤバいんだって!やだ、帰りたいよ!」
駄々をこねていると、しまいにビーストの男性が怒鳴った。
「ったく、少しは働きやがれ」
ビーストの男性が指を指して怒ると、少女が大人しくなる。
「ここは安全だから、今からおめぇ用の仕事をもらってきてやる…ウロウロすんなよ、いいな、ここにいろ!」
男性がそれだけ言って歩いていくと、少女が手を伸ばすが、すぐに引っ込めた。
「う……やっぱ、やだ……ココ……やだよ……ううっ!」
少女が頭を押さえて座り込んだ。
それを見たクロニカが少女の元へと歩いていく。
たがその時、海底レリクスが音を立てて振動を始めた。
部屋の出口が閉じていくと、傭兵たちの焦る声が聞こえる。
「急げ!閉じ込められるぞ!!」
傭兵たちは次々と出ていってしまう。
少女が頭を抱えているのを見て、クロニカは動いた。
近づこうとした瞬間、少女が立ち上がって出口に向かっていくが、その前に扉は閉まってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!