第一章<翼を抱いた少女>

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少女が閉鎖された扉を叩く。 「出して、出してよー!このっ、このやろっ!開きなさいよー!」 こりずにさらに叩き続ける。 見かねたクロニカが少女へと近づいていく。 「開けって!開きなさーい!もう!ほんと、いい加減にしてよ!……はぁ」 ため息をついている少女を見て苦笑し、足を進めるクロニカ。 「……だから帰ろうっていったのにさ…ここはやばいって、あれだけ行ったのになんで聞いてくんないかなぁ……」 落ち込んでいる少女の後ろで立ち止まって、声をかける。 「まぁ、信じられないことかもしれないよね」 「誰?」 少女は驚いて、背後のクロニカを見た。 クロニカは笑顔でこんにちは、と挨拶をしてみる。 「ああ、そっか、閉じ込められちゃったのあたしだけじゃないんだね」 ガッカリしたように言う。 「なにが起きたかってわかる?」 「あ~生憎、いろんなことがあったけどこんなこと初めてで…」 頬を掻きながら笑うと、うなだれる少女。 「……わからないよね、あたしも、いきなりでそれどころじゃなかったし…気がついたら、みんなは逃げ出してるし…はぁ、どうしたらいいんだろ」 そう呟いて下を向く。 「まぁ、行こうか」 そう言って踵を返すと、少女がクロニカの服を掴む。 「きゃっ!」 ビックリして止まると、少女を見る。 少女もビックリしているようだ。 「まさか奥に進む気?」 「そうだけど」 当然という風に言う。 「無理無理!やだやだ!危ないって!ここ、未開のレリクスなんだよ?すっごい危ないんだよ?」 それは百も承知なのだが、少女が嫌なようだ。 「じゃあ、ここで待っててくれる?助けを読んでくるから」 極めて優しく諭したつもりだが、少女が悩む。 頷くと、少女がクロニカの顔を見つめる。 「行くから!あたしもいっしょに行く!」 そう言って頷く少女に、クロニカも頷き頭を撫でた。 「あ、そういえば名前、聞いてないんだけど……」 言っていなかったと気づいくと、自分の胸に手を当てる。 「クロニカ・レメディアだよ」 何度か名前を呟く少女。 「あたしはエミリア、エミリア・パーシバル」 「うん、よろしくねエミリア」 もう一度頭を撫でると、戸惑いながらエミリアは口を開いた。 「えっと、その……これからしばらくは一緒だから……よ、よろしくね」 こうしてクロニカとエミリアが出会った。 この出会いがどうなるとも知らず。
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