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唖然としている場合ではない。そう感じた隊員達はすぐさま乗り場から崖下を覗き込んだ。
「な、なんてレリックだ」
メガネの男がそう発するのも仕方ないだろう。
彼女は遥か離れたゴンドラの屋根にこの崖から飛び移り、それを足場にすると街中へと再び飛んだ。
「まるで鳥だな、彼女は」
羽ばたくように広がるティナの白髪。急降下していくその姿はまるで飛行する燕の如くしなやかだった。
「お、追いますか?」
隊員の一人が男に訪ねるが、男は苦笑いを浮かべて首を振る。
「彼女のようにゴンドラを足場にして跳躍出来るのですか貴方達は。私には出来ません」
潔くその場を離れていく男の言葉に渋い顔をするだけで返答出来ない隊員達。
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