奪われる寿命

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「おっと、警戒しないで頂きたいな。私は女性には優しいですよ? 貴女が抵抗しなければ痛い目にも合わず、紳士的にエスコートして差し上げられるんですがね」 爽やかな笑顔を振り撒き首を傾げるメガネの男。大概の女性ならば魅力されずにはいられない甘いマスク。そんな彼に一切の興味を見せないティナは、僅かに視線を後方に向け何かを確認すると向き直る。 「面白い、私をしょっぴこうと言うのか! 罪状無しに一市民を連行しようなど、機動隊は随分横暴のようだな!」 高らかに吠えてはニヤリと笑うティナ。その凛々しくも綺麗な顔に思わず隊員達は息を飲むが、彼女こそが自分達に危害を加えた張本人だと直ぐに首を振った。 「被害者を前にどうしてそこまで強気になれるのですか貴女は……。罪状は言うまでもなく公務妨害及びオーバーレリックの不当利用です」
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