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「残された私にもう生きる意味などないさ」
長年住み続けた我が家も、慣れ親しんだ食器も、冬子が居なければ味気ないばかり。
独りになった家の台所に立つ度、妻の痕跡が胸を締め付け、酷く孤独を感じた。
そう。
私は妻の後を追うのだ。
「?」
ズビッと彼が鼻を啜り、手の甲で涙を拭う。
鼻を赤くしてえぐえぐと嗚咽混じりに声を漏らして号泣する彼。私が「だ、大丈夫かい?」と訪ねると彼は涙声で。
「す、すいませ……っん……なんか、なんか僕」
まるで自分の事のように悲しんでくれるマウス。ウサギも同様、大きな目に涙を一杯溜めていた。
最近の若者も捨てたもんじゃない。おかしいのはこの社会だ。
悔やんでも悔やみきれない。
私はリュックサックから睡眠薬の箱を2つ取り出してその中身を3等分した。
「2人とも。本当にいいのかい?」
問いかける最後の問い。
すると彼らは何も言わずに分けられた睡眠薬を全て手のひらににプチプチと出して口の中に放り込んだ。
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