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2人の決意は固かった。
自殺は逃げだと罵る者もいるだろう。だがそんなのは余計なお節介である。
逃げたっていいじゃないか。純粋な彼らが泣きを見るようなつまらない社会など糞食らえだ。
私は睡眠薬を取り出し、多すぎるそれを噛まずに飲み込んだ。
「それでは」
マッチを擦り、オレンジ色の炎がシュオッと音を立て小さな光が灯る。
燃えやすいように新聞紙に火を移して練炭の中へ放り込むと直ぐに木炭に引火してパチパチと音を立てた。
ジュワッ。ペットボトルに入った水を少量垂らせばモワリと白く濃い煙が室内に立ち込める。
私は息を大きく吐いて深く深呼吸しその煙を鼻孔から肺へと取り込み、ため息と共に吐き出した。
それを見て私の真似をする2人。
睡眠薬が効いてきたのか息苦しさはなく、煙が思考を犯してふわふわと宙に浮いたような気分になる。
「なんだか……気持ち良くなってきたぁ」
ぽーっとした面持ちで天井を見つめるウサギ。目を細め、トロンとした表情のマウス。
まるで孫に囲まれたような気分になり、私は再び目頭を熱くした。
ガタン!
部屋の外から物音が聞こえたのはその時だった。
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