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リュックサックから炭の入った練炭を取り出して廃屋の一室にヨイショと置いた。
私はいったい何をしているのか。
こんなあどけない少女と共にあの世に参ろうなどと正気の沙汰ではない。この自殺オフ会を計画したのも今となっては悔やまれる。
「まさかこんな小さな子だとは思いませんでしたね」
ネズミが深々とため息を漏らす。時代が変わったのでしょう。そう哀れみを含んで言うと、まだ20代半ばの彼は「時代ですか」と目を伏せた。
「ねぇー? まだぁ?」
そのリスのようなクリクリした瞳を無邪気に輝かせ、まるでこれから遊園地にでも行くようにウキウキとした彼女。
日本はいったいどうしたというのか。
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