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普通なら防御壁を易々と貫く槍だが、咲羅には防御壁すら必要ないらしい。
「むぅ……」
未来はそれを見て、わずかにむくれたような表情となる。
と、同時に。
「さっちゃん先輩、大人しく倒れてくれなくっちゃ、めっだよぉ!」
彼女の姿は瞬きの一瞬で咲羅の目の前に現れていた。
「っ!」
咲羅はそれに対し、冷静に対応した。
すでに振りかぶられた右腕。勢いを付け、バランスを取るために掲げられた左腕。踏み込まれた左足から腕はオーバスローで振られるのだと理解した。
しかしその攻撃すらも、魔眼を全力発動した咲羅には届かない。
まるで見えない壁がそこにあるかのように、槍が弾けたのと全く同じ位置で未来の腕は止まってしまった。
電気が弾けるような激しい火花と音を撒き散らし、未来は障害に右手を押し当てる。
すると、1秒ほどで謎の障害はガラスの割れる音と共に砕けてしまった。
「おっ!?」
まさか砕けると思っていなかった障害に拍子抜けした未来は、勢いそのままに前へつんのめってしまう。
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