第11章

80/181
前へ
/1438ページ
次へ
普通なら防御壁を易々と貫く槍だが、咲羅には防御壁すら必要ないらしい。 「むぅ……」 未来はそれを見て、わずかにむくれたような表情となる。 と、同時に。 「さっちゃん先輩、大人しく倒れてくれなくっちゃ、めっだよぉ!」 彼女の姿は瞬きの一瞬で咲羅の目の前に現れていた。 「っ!」 咲羅はそれに対し、冷静に対応した。 すでに振りかぶられた右腕。勢いを付け、バランスを取るために掲げられた左腕。踏み込まれた左足から腕はオーバスローで振られるのだと理解した。 しかしその攻撃すらも、魔眼を全力発動した咲羅には届かない。 まるで見えない壁がそこにあるかのように、槍が弾けたのと全く同じ位置で未来の腕は止まってしまった。 電気が弾けるような激しい火花と音を撒き散らし、未来は障害に右手を押し当てる。 すると、1秒ほどで謎の障害はガラスの割れる音と共に砕けてしまった。 「おっ!?」 まさか砕けると思っていなかった障害に拍子抜けした未来は、勢いそのままに前へつんのめってしまう。
/1438ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加