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未来も改めて流歌を引き留めるようなことはせず。
彼女は魔法陣の先へ飲み込まれた流歌を静かに見送った。
視線を咲羅に戻せば真琴の姿もなくなっており、残るは咲羅だけとなっていた。
「もう細かい御託は抜きだ、未来ちゃん」
彼は長さ3メートルの光の槍を8本、自身の周囲に浮遊させている。
未来にはそれに、見覚えがあった。
“ほむほむ先輩と戦ってたときのだぁ……変わってないんだぁ”
自分の知る限り、咲羅自身は魔眼の効果によって、自分のように特別な術式を扱ってくることはなかったはずだ。
それでも、魔眼の力は彼の基礎戦闘力を爆発的に跳ね上げているはずで、
“大っきい魔法をたくさんうってきたりもできるよねぇ……?”
可能性はまさに未知数。ならば、最大級の警戒をしておくしかない。
未来は両手の拳を低い位置で握り込むと、甲と足元に魔法陣を展開した。
「【天殲恋華】:効力発現
────身体機能神格化」
『承認:
魔人【狂性の主】
────展開します 』
その瞬間、未来の全身に魔法陣の幾何学模様がタトゥーのように描かれていく。
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