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「ふお……っ!!」
一瞬脳裏をよぎるのは串刺しにされる自分の姿。
それを振り払うように、未来はもはや反射のみで体を動かした。
肘を突き込んだ低い姿勢から、軸足として残した左足で咲羅の足を払うように蹴り出す。
彼はそれを跳ねて回避するが、未来はその攻撃を当てるつもりがなかった。
「行くよぉッ!?」
今度は右足に体重を乗せ変え、屈んだその場で回転すると両足を揃えて頭から咲羅に飛び込んだ。
「未来ちゃ……ッ!?」
咲羅が驚くのも無理はない。彼女が選んだ攻撃手段は体ごと飛び込む頭突きなのだ。
攻撃は幼稚だが、それでも無視することはできない。
彼はその場で左後ろ向きに半回転すると、自分の体の正面を未来に通過させるように回避。
彼女の行く手に槍を新たに作り出し、配置した。
一連の動きはこれまでの経験に基づく無意識の動き。
意識するまでもない流れの中、彼は感じ取る。
左から右へ流れる未来の姿を正面に捉えつつも、遅れて左からやって来る脅威がある。
「……」
それが明確に何だとは理解することはなかったが、彼の体は無意識に体を後ろに倒していた。
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