第11章

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次の瞬間、咲羅は体の上を未来の右手から生えた光の剣が通過するのを見た。 「ッ!!」 直感は正しかった。 もし回避しなければ、体は上半身と下半身が分かたれていたはずだ。 「危ないじゃない、未来ちゃん!!」 半ば怒気のような声を放ちつつ、咲羅は魔法によって背中を持ち上げる。 仰向けに倒れたまま宙へ舞った彼は頭を下に向けると、右手を眼下にいる未来へ突き出した。 「────!!」 無言のままに手から放たれるのは、やじりの形をした光の弾丸だ。 数は無数。それはまるで雨のように降り注ぐ。 対し、未来は飛び出した姿勢のまま勢いを殺すことなく、回避の動きに繋げた。 床に着地するとすぐさま前転し初撃を回避。続く弾雨は、左手を強く払った瞬間、破裂するように弾け飛んだ。 “防御の左腕……!!” 咲羅はその防御力に改めて感心するも、自身が着地した瞬間にはすでに新たな攻撃手段を作り出していた。 両腕の側面に1つずつ魔法陣を描き出すと、槍を自身の周囲へ呼び集めた。 「──……!!」 彼はそれを1つに束ねて巨大な槍とすると、軽い1ステップの直後それを投擲した。 陸上の槍投げとはまるで異なる、地面と平行に高速で走る大槍は真っすぐ未来へ向かっていく。
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