第11章

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左腕を払った直後の隙を挟まぬ投擲にも、未来は即座に反応した。 「えいっ!」 気合いの掛け声と共に、彼女は先程とは反対の右腕を払ったのだ。 左腕が防御ならば、右腕は攻撃。 彼女は魔眼の加護によって、自身が持つ攻撃力より威力が下回る攻撃には傷付けられない。 その効果を利用し、攻撃で攻撃を潰そうと言うのだ。 結果として、それは成功した。 咲羅の放った大槍は、破裂するように空中へ霧散したのだ。 “一応、軽量の戦艦程度なら落とせる威力だったんだけどね……” 半ば呆れにも似たつぶやきを心中で漏らし、咲羅は改めて未来を見る。 彼女の全身を覆う魔法陣は、【天殲恋華】の持つ魔法陣の内容とほぼ同一。 パレ・カルディナルに乗り込む前に吸収した魔力を利用しての攻撃強化なのだろう。その威力は十二分だ。 本来、流歌と同時に発動することが前提である【天殲恋華】は、今の状態が完全発動ということになる。 本気も本気、未来は最大攻撃力を持って自分を倒しに来ているということか。 “面白いね……!!” 刹那、咲羅は己の中に沸き立つような何かを感じ取った。
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