第11章

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「くっそー、さっちゃん先輩そんなによけたら、未来ちゃんが勝てないでしょおっ!?」 勝負の中にあって実に身勝手なわがままを叫ぶ未来だが、その口の端には、笑み。 彼女は改めて魔力兵装を強く噴出させると、弓を構える動きで右手を引いた。 その瞬間、花が咲くように周囲へ魔法陣が展開。咲羅の弾丸と相対するように未来も矢の豪雨を纏った。 「僕もね、簡単に負けてあげるわけにはいかないんだ」 「わたしだってるーちゃんと約束したもんっ! 絶対勝つんだって!!」 「だから、戦争をしているんだろう?」 「っ……!!」 意識の相違。意見の食い違い。根本から違うものを相手と合わせるにはどうするか。 相手に合わせさせればいい。 暴力という最も原始的な方法で。 「今さら迷うのかい?」 咲羅の問い掛けに対し、はっとした未来は思い切り首を振った。 「戦うよっ。他になんて言われたってもぉ関係ないもん!!」 そして未来が右手を滑らせるよう引ききると、一斉に弓矢が放たれた。
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