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大量の空気を取り込みながら魔眼が形成する術式は、
“──……重力魔法?”
部屋中の霧が集められると、それらは不自然な動きで地面にたたき付けられて消失。
その代わりというように、黒く波打った魔力兵装と、光の線だけで表現された無数の立方体を展開した。
「それは……!?」
咲羅はそれに見覚えがあった。
真琴たちが流歌の確保に向かった際、流歌が発動していた固有術式だ。
“僕の術式を吸収して重力魔法……? 僕の魔法に重力魔法の要素はないんだけどな”
漆黒の光の中、浅く俯いて立つ未来は片手を真横に上げた。
それを合図として、周囲の立方体が回転しはじめた。
徐々に速度をあげるそれらは直接咲羅に向かうことはなかったが、
「行っくよぉ!!? さっちゃん先輩!!」
未来が爛々と輝く瞳を、強い笑みとともに見せ付けた次の瞬間。
まるでガトリング砲のような勢いで重力源が放たれはじめた。
「な……ァッ!!?」
そのあまりに無茶苦茶な威力の高さに、咲羅は目を見開いた。
それに飲み込まれないよう、彼は急ぎ回避を始めた。
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