プロローグ

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私が働いている高校では、二年生から地理を学ぶことになっている。 いつものように職員室がある一階から二年生の教室がある三階までを歩く。 八時五十分。 数十年前の学生時代を思い出すチャイムが鳴る。それと同時に、教室のドアを開ける。 ドアを開ける前から分かっていたが、開けてみると、さらに騒がしさが増した。 腹の底から声を出すのは苦手である。 「おい、始めるぞ。」 自分なりに大きな声を出したつもりだ。 しかし、反応したのは四十人中五人程だった。 大きく息を吸い込み、もう一度声を出そうとした。しかし、その必要はなかった・・・
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