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「なあ、知ってるか唯ちゃん?」
私は行きつけのカフェで、マスターに突然そう言われた。
また、恋人を作れだ、さっさと告白しなさい、などの心に突き刺さる話しをしだすかと思っていたが、マスターの口から出た言葉は以外なものだった。
「最近、ここいらで通り魔事件が横行してるんだそうだ。唯ちゃん、探偵ごっこしてるんだろう?ここらでドカーンと知名度アップでも狙ってみるかい?」
「し、失礼な!探偵ごっこじゃありません!風見鶏高校、公認の探偵部です!部活動です!」
「はっはっは、なら今までどんな事件を解決したんだね?探偵さん?」
マスターは嫌みを言いながらも、私にミルクティーをそっと差し出した。
「ちょっとお!今日、一杯分しかお金持ってきてないんだから!」
カウンターに置かれたミルクティーをマスターに押し返した。
すると、マスターは笑って再びミルクティーを押し返した。
「奢りだよ、その代わり今までの探偵話でも聞こうかな?」
「な、無かった場合は?」
「本当に1つも無いのかい?」
「ていうか、依頼すらありませんから…」
私がミルクティーに手をかけると、カランカランという音を立て、カフェのドアが開いた。
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