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私はくだらない授業を聞きながら、マスターの言葉が頭にこびりついて離れないことに、苛立ちを覚えていた。
頭を抱え、何かに負けたような悔しさと、事件を解決したあとの幸福や尊敬の眼差し…そんな至福を想像していた。
斗真さんは私の手を握り、跪いたかと思うと、あの殺人的な甘い声でこう言うのだ。
「唯…君が好きだ、僕と…付き合ってくれないか」
そして私は、彼と同じ目線で手を握り返す。
「斗真、私でいいの?」
すると斗真さんはこう言うのだ。
「それは、こっちのセリフさ、僕なんかでいいの?」
2人は目を細めながら、互いの唇に近づく、少しずつ…少しずつ…そして、私の唇に彼が触れた時、私の頬に一筋の涙が通る。
そのうれし涙が、彼を愛している証拠となるのだ。
そして、彼の頬にも一筋の………
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