7人が本棚に入れています
本棚に追加
少女は、強い眼差しを向けて僕を見つめている。
その瞳は周りに灯されている炎のように赤かった。
連続的に轟音を轟かせる爆音、さらにそれに伴うほどの風が彼女の銀色に輝く髪を揺らす。
しかし、それに動じることはない。
瞬きもせずに僕の視線をつかみ取るように見つめ、こう言うのだ。
「お願い……どうか、みんなを救って。」
そして彼女は黒い箱のような物を手に握らせ、小さく愛らしい手の小指を差し出してくる。
「約束だよ……みんな待っているから……」
僕は首を深々と上下に振り、彼女の小指に結び付けるように自分の小指を絡める。
だが、数秒程でその指を離した。
足音が聞こえたのだ。
重い装備をもって一歩一歩が圧力を感じさせる特殊ブーツ特有の鈍い足音。
次第にその音は近付いてきている。
僕は立ち上がり、座り込んだままの少女に向けて誓いを立てた。
「必ず……必ず助けに行くから、だから、待ってて!」
そう言って柔らかい土を蹴り飛ばし、必死に走った。
...
最初のコメントを投稿しよう!