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イライは言われるがまま踏み出し、それから振り返ってアスールを見た。
アスールは、いつもと変わらず微笑んでいる。
それを確認してから、イライはキャスリンとともに部屋を出た。
扉の向こうにイライの姿が消えた瞬間、アスールの翠の瞳が燐光のように光った。
口許の微笑が消え、浮かんでいた感情も消える。
「さて、聞かせていただきましょうか。ベルが破滅を呼ぶ者だと分かってからあなた方が何を成したのかを。どこまで分かっているのかを。それを聞いてなお、私に選択を迫るのかを。」
冷たい声だった。
イライに向かって語られる声とは、全く別物だった。
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