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感情をなるべく抑えて接してくる魔法使いたち。
だが、彼らの眼差しが、言葉の端々に滲み出る温かさが、彼らの気持ちを雄弁に語っていた。
レイゼルの魔法使いたちは、永遠に叶わない片想いをしている。
敬愛し尊敬し慕い忠誠を捧げても、アスールの感情は動かない。
だからこそ、そのアスールが自分なんかを選んで側に置き、連れてきたことを憎まれているのではとイライは恐れていた。
「誰かがあの方のお側にいてくれればいいと思っていた。孤独で孤高で、それを当たり前にしてしまったあの方のお側に。それを、あなたが叶えてくれた。だから、私はあなたに感謝する。」
そう言いながら、キャスリンは次第に俯いた。
それは、気持ちを吐露したことの気恥ずかしさからか、それとも感謝の言葉とは裏腹の負の感情が表に出てくるのを見られたくないためか。
嫉妬ーーー何故自分たちでは駄目だったのだろう。
イライの胸が痛んだ。
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