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「・・・俺が魔法使いならよかったのかな。」
それならば、少しは周囲が納得したのかもしれないとイライは思った。
「俺は何の力もないガキで、アスールがいなかったらあの森で生きてなんかいられなかったし、ホントはアスールと契約して所有されてるだけなのかも・・・」
イライは、自分の左手の甲を見つめた。
そこには、最初にアスールと交わした契約の証、アスールの紋章である竜の形の紋様が、刺青のようにくっきりと刻まれていた。
魔法による契約の証なので、契約が破棄されるまで消えることはない。
「あなたが魔法使いならば、きっとお側にはいられなかった。受け入れてはもらえなかっただろう。あなたは、魔法が使えない人間。だからこそ、あなたでなければならなかった。」
キャスリンが、イライの手をとった。
アスールの契約の証が浮かんでいる左手だ。
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