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両脇に尖塔を持ち賢者の塔と呼ばれる館の一室で、アスールは静かに報告を聞いていた。
世界には、大きな大陸が2つある。
1つはその大部分をルナリア帝国が占める西の大陸。
一方、東の大陸は、中規模の国家といくつかの小国で成り立っており、どの国も同盟が結ばれていた。
小競り合いはあるものの、西の帝国を警戒して、今のところ大きな内乱はない。
「既に、東の大陸では国がいくつか滅んだようです。」
賢者賢人たちから寄せられる報告で、いいものは何もなかった。
狂った獣がなだれ込んできて田畑や家屋を破壊され難民になった人々。
汚染された井戸や川の水によって大量の命が失われた集落。
妖魔妖獣に突然襲撃された街。
その報告を聞きながら、地の賢者は書物の賢人が用意した地図を広げ、一つずつ印をつけていった。
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