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アスールがいるべき場所に戻り命ずることで、あたかもすべてが上手く収まるかのような錯覚を起こしているのではないかと思うほど、賢者賢人たちの表情は誇らしげに変わっていた。
彼らは、間違いなくアスールを待っていたのだ。
稀代の大賢者にして竜王の、この美しい魔法使いを。
しかし、アスールはやはり彼らと同調することはなかった。
「おや、失礼しました。今出した指示は、どれも事態が好転してからのことですからね。」
この一言で、場の雰囲気が一気に緊張した。
そう、彼らは動けないのだ。
「予言される破滅の日」をもたらす者ベルが存命し魔法使いとこの世を呪っている限り、何をしても焼け石に水、下手をするとレイゼルにまで害が及ぶ。
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