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今世最高位まで登り詰めながら、勝手に隠居したと言い張る魔法使いと、故郷も家族も失って天涯孤独になった田舎の少年の、奇妙な共同生活が始まった。
「そういえば、君は何歳です?」
採ってきた薬草の分別の仕方を教えながら、アスールが尋ねた。
「俺?17だけど。」
「おや、まだそんなですか。それで、村から出たことは?」
「・・・使いに出るくらい。」
辺境の小さな村で、簡単な字を学んだくらいで、あとは日々の労働にかり出されていた。
しかし、十分な食料があったわけではなく、イライは大柄な方でもなく、筋肉質でもなかった。
「君には、いろいろ覚えてもらいます。何か私に聞きたいことはありますか?」
聞きたいことと言われ、イライは手を動かしながら考えた。
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