エピソードPrologue

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さて、勘のよい人ならクリスと聞いただけで思い浮かぶ人はいるだろう。 今まで本を読んでいたのは金髪のショートヘアーに二つに髪を結った二色の目……オッドアイを持つ少女『高町ヴィヴィオ』だ。 彼女が今いるのは自宅では無く六課の隊員寮、本来なら保護者であり彼女の母親と言える高町なのは、フェイト・T・ハラオウンがいる筈なのだが今はいない。 無論それには理由がある、残酷な理由が。 「なのはママ……フェイトママ……ノーヴェ」 つい最近まで一緒だった大切な一束、それがずっと続くと思っていた平和な日常が……ある日がらりと代わってしまった。 「(何処にいるの……)」 胸が苦しくなりその瞳は滲み涙が溢れていた。やっと得た幸せが、突然嘘の様に消えてしまった。 「ママ……ノーヴェ……皆」 その様子を見たクリスは彼女の側によりハンカチで涙を拭うとヴィヴィオはクリスを抱きしめ泣き始める。 無理も無い、十二とは言えまだまだ親に甘えたい時期だ。その親を失ってしまった彼女は更に大切な人達も姿を消してしまった。 彼女の涙は頬濡らし、その心は救いを求めていた。 だが辛い事が起これば幸せは必ず訪れる。 彼女はこの時知る筈はなかった。この世界に彼女と同じく大切な人達を失った悲しさを知る転生者が来る事を彼女は知るよしもなかった。
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