121人が本棚に入れています
本棚に追加
「突撃ぃ!!」
大将であるサヤの声と共に整然と陣形を組み突撃する帝国の騎馬隊。
「やっちまぇぇぇ!」
対するは、義を失いもはや単なる賊と化した公国の兵。
帝国軍一万、公国軍二万が南西群の群境にて、衝突した。
傍目から見れば兵数で公国軍が有利に見えるこの戦い。
事実、公国軍の兵士達も2倍の兵力差に自分達の勝ちを疑っていない。
だが、現実は全く異なるものとなる。
帝国軍が誇る帝国陣の巧みな連携と、騎馬の持ち味である突撃力の前に公国軍は陣形を崩され、勢いを失っていく。
そして、乱れた所にさらに追い討ちをかけるように歩兵や弓兵の攻撃を加えられて徐々に崩れだしていった。
「進め!敵に私達の力を見せてやれぇ!!」
『おぉぉぉぉぉ!』
一方、サヤ=コーミッヒは自軍の兵達を鼓舞し、果敢に敵兵に切り込む。
そこに、戦況を察した将の一人がサヤ=コーミッヒに近づき進言をする。
「お嬢」
「お嬢言うな!」
「仕方ないでしょう?お嬢がサヤと名前で呼ばれるのを恥ずかしいというからお嬢呼んでるんだ」
「うぅ…だって、なんかこっぱずかしいじゃないか…」
「それより、敵が崩れ出しだしました。畳み掛けるなら今です」
進言した将の名はコウヤ=ディック。
サヤ=コーミッヒの信頼も厚く、軍においては将と軍師を兼任する帝国軍のNo.2である。
また、サヤ=コーミッヒの名前を呼ぶ事を許された唯一の部下でもあった。
「わかった……敵が崩れたぞ!全軍突撃ぃ-!!」
『うぉぉぉぉぉ!!』
コウヤの進言通り、タイミングを逃さず全軍攻勢に出た帝国軍。
それを前に公国軍は瞬く間に瓦解していった。
そして、一人…また一人と逃げ出していき、ついには全員が退却を始める。
だが、帝国軍がそれを逃すはずもなく。
「コウヤ!このまま追撃をするぞ!!」
「無論。逃がしても益などないですからね…このまま追撃するぞ!お嬢に続けぇ!!」
猛烈な追撃をかけて散々に公国軍を打ち破った。
これにより、南西群及び周辺の公国軍は駆逐されるのだった。
最初のコメントを投稿しよう!