第二話

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公国賊を駆逐した後に残るは勝利の凱歌、勝利の宴、仮初めながらもやってきた平穏。 そして… 「はぁ、いつになったらおわるんだ…」 目を背けたくなる程の書類の山だった。 戦の後には当然の如く戦後処理がある。戦にかかった費用、兵の損害、公国賊による村々の被害の報告、復興にかかる費用の試算結果などに目を通し、確認しなければならない。 それに加えて、公国賊を駆逐したことで新たに傘下に加わってきた街の処理、普段の内政の仕事もあるので一人では処理しきれないのは当然のことであった。 文官達にでも押し付ければいいものだが、根っからの良い人のサヤにはそんなことができるはずもなく、結局執務室に缶詰になった。 「はいはい、溜め息つく前に手を動かしてください。俺も手伝ってあげますから」 そんな、サヤの様子に苦笑しながらもしょうがないなぁと積んである書類を片付けだす軍師のコウヤ。 「悪いなぁ、コウヤ。お前も自分の仕事あるのに」 「まぁ、いちおう軍師ですからね。あぁ、これ決済お願いします」 「はいよ。でも、やっぱりありがとな。コウヤが軍師で良かったよ」 二人での作業で書類が減りだしたためか、改めて軍師の存在に感謝するサヤ。 その感謝にコウヤは先程と同様に苦笑する。 「嬉しいですけど書類仕事で感謝されても…ま、頑張りましょう。苦労の分だけ報われますよ」 「だと良いなぁ」 もっとも、人の良いお嬢はそれ以上に苦労するだろうけど…とコウヤは内心思ったが口には出さなかった。 しばらく黙々と仕事をしていたが、コウヤがふと部下から聞いた事を話し出す。 「そういえばお嬢、最近、アリア皇国のとある街に神の知者が現れたって話知ってます?」 「神の知者?」 その言葉に胡散臭そうな顔をするサヤ。 「なんでも、きらきらと光る服装をしていて、二人の部下と共に民衆を率いて街を襲う公国賊を撃退したとか。今は、街の県令になってるらしいですよ」 「へぇ、そんな奴がいるのか」 「神の知者かはともかく、それなりに実力があるのは確かでしょうね。近所ですし、そのうち会うかもしれませんね」 「まぁ、どんな奴か興味はあるな…と。あ~やっと半分か」 ようやくとはいえ半分まで仕事を片付け思わず背を伸ばすサヤ。 「これなら、今日中には終わりそうですね。一先ず休憩にしましょうか」 「そうだな、お茶でも飲もう」
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