第三話

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と、それを遮るように兵士が部屋にやってきた。 「申し上げます。我が軍に加わりたいと申すものが目通りを願っているのですが」 「まったく、休憩する時に限って…」 「まぁまぁ、仕事するわけじゃないですし。それに、優秀なら部下にして仕事を任せられるじゃないですか」 「そりゃ、わかってるけど…私って運がないのかなぁ」 仕舞には落ち込みだすサヤ。 「大丈夫ですよ。お嬢にも良いことありますって」 結局、謁見の間に着くまでコウヤは慰めることとなる。 「我が名はラン=ミンティル。困窮する庶人を救うべく各地を旅しながら武を磨いている者、此度は貴殿の軍に加えて頂きたく参った次第」 そう言って、片膝をつき口上を述べるミンティルと名乗る少女。 サヤの傍らで、見ていたコウヤは一目でミンティルが只者ではないと感じていた。 凛として美しい容姿もそうだが、なによりミンティルが放つ武人としての空気が己以上に感じられたからである。 サヤも同様にミンティルが只者ではないと感じたようだった。 「ミンティルとやら、お前が加わることに依存はない。だが、まずは実力を試させてもらう。良いな?」 「構いませぬ。ですが…」 ミンティルはそこで言葉区切ると視線をコウヤに向け… 「お相手は貴殿に願いたい」 挑発的な笑みと共にコウヤを指名してきた。 「ほう」 「ムッ……」 その指名にコウヤは笑み浮かべ、サヤはミンティルの態度に不快に眉をよせる。 「コウヤは一応ウチで一番の武人だ。恥をかいてもしらんぞ」 「ご心配には及びませぬ」 「クッ…」 「落ち着いてくださいお嬢。俺は構いませんから」 コウヤはサヤをなだめると自分の獲物を抜いてミンティルに近づく。 「サヤ=コーミッヒが将、コウヤ=ディックだ」 「ほぉ、貴方がコウヤ=ディック殿か」 「いかにも。お嬢の前で恥をかく訳にもいかん、本気でいかせてもらう」 「フッ、ラノール軍一の武人の実力、みせて頂く」 二人は互いに軽口を言うと武器を構え、戦闘態勢にはいる。 まわりの者も緊張していく空気を感じ取ったのか静かになっていった。 そして 「行くぞ!」 戦いの火ぶたはコウヤの先制によって切って落とされた。
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