不快

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駄作とも言い難いまったく酷すぎる文字の塊を書き連ねることを小説を書くことだと思い込んでやがる男がいる。 文字もまともに書けない馬鹿だというのに、どうしたことかこの男、想像力だけはいいらしい。いや、妄想力と言うべきか。いうなれば、ただの変態、クズ、馬鹿、カス 平仮名の比較的多い原稿用紙には上等な万年筆が走る。全く文字もまともに書けないというのに筆記用具だけは上等だ。それが無性に腹立たしい。鼻歌まじりの掠れた歌も腹立たしい。どれだけ洗ってないかもわからない髪の毛も腹立たしい。弛んだ体も、漂う異臭も、部屋に散らばる失敗作の原稿用紙を丸めたゴミも、カップラーメンの残った汁も、灯油の切れたストーブも… この部屋で感じる五感すべてが不快。不快、不快、不快、不快、不快。 …腐ってるとしか思えない。
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