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自然界から生まれる結晶、「精霊」。
おとぎ話では妖精と呼ばれているかもしれない。
人間の目には決して見えない妖精達だが、この世界に存在する事…
触れられない力の中に生きていて、人間達の側にいる事を…
彼女…゛桃瀬あざみ゛だけが知っている。
――――淡い色の妖精は花の化身。
横切っていった方向を見ると、色鮮やかな光を纏い、その少年は居た。
たとえ妖精に囲まれていなくても、誰もが足を止めるであろう綺麗な顔立ちのその人。
(うわぁ……綺麗な人……)
風に花弁の舞う中、ふいに彼女と彼の視線が合わさる。
(――――わ!目が合った!)
彼は肩程ある髪を風になびかせ、長い前髪から瞳を覗かせる。
「……………君」
互いに名前も知らないその人から、ポツリと言葉が聞こえた。
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