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――教室には残っている生徒もおらず、誰もいなかった。
自分以外には誰もいない、静かな空間。
「誰もいない、か…。当たり前だよな。下校時刻とっくに過ぎてるし。」
その静寂が何処か落ち着かず、早く用を済ませようと、財布を忘れたであろうロッカーに近寄る。
自分のロッカーの中を探すと、確かに黒い財布が入っていた。
それをしっかりとカバンに仕舞って顔を上げると、ふと反対側の校舎が目に留まった。
――反対側の校舎の屋上には、女子生徒が立っていた。
「何でこの寒い中屋上になんか……」
女子生徒の長い黒髪が、冷たい風でなびいている。
セーラー服に付けている青いリボンから、自分と同じ学年だと少年は判断した。
「生徒会の奴か?」
下校時刻を過ぎると、屋上や教室は施錠されてしまう。
鍵を借りて開けられるのは、放課後に仕事のある生徒会くらいだ。
――生徒会も忙しいんだな。
と、少年は大して気にせずに立ち去ろうとした時だった。
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