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2時間目の授業は体育で水泳の時間。
M少年は水泳が大好きだった。
当時川南小学校はプールサイドに更衣室が一つしかなく(現在は男女共、更衣室がある)男子は教室で女子はプールサイドにある更衣室で水着に着替えていた。
一番先に着替えたM少年は真っ先にプールへ駆け出した。
プールへ行くと担任で女教師のN先生(25)(現在は結婚されておりT先生)がいた。
「M君いつも早いねぇ、みんないつも遅いかい見習ってもらいたいわぁ。」
M少年は嬉しかった。
体育の授業が終わりみんなと談笑しながら教室に戻るM少年。
着替えているとパンツがない事に気がついた。
当時は男子はみんなトランクスが主流だったがM少年はまだブリーフであった。
「ねぇみんな僕のパンツがねぇっちゃわぁ、一緒にさがしてくれんかぁ?」
しかし、みんな笑ってばかりで探してはくれない。
女子が戻ってきた為仕方なしにノーパンのままズボンを履いた。
違和感を感じながら席に座ると廊下側の一番後ろに座っている女子が泣き崩れていた。
みんながその女子の場所に集まり出す。
すると、
「MのパンツがUちゃんの引き出しに入っちょったてぇ。」
Y君が高々と振りかざすのを見たM少年は愕然とした。
M少年の席はベランダ側の一番後ろで正反対の席、そんな所に入れるはずがない。
みんなの矛先はM少年に向けられた。
「なんでこんな事するとや。」
「Uちゃんに謝んないよ。」
ちょっと待っていただきたい。
Uも被害者だがM少年も被害者でありそう簡単に謝れるはずがない。
しかし、クラスは自分を省けば39人である。
39×1では到底かなうわけがない。
むしろ男子みんなが真剣に探してくれていれば防げていたかもしれない。
誰もM少年に味方する者などいなかった。
とりあえずM少年はY君からパンツを受け取り隣の空き教室で着替えた。
教室に戻れば批判の嵐、戻りに戻れない。
その空き教室でM少年は声を殺し泣いた。
先生が教室にくるのが見えた為にM少年は動いた。
しかし、
「先生、M君がUちゃんの引き出しに自分のパンツを入れてました。」
クラスの女子が先生に伝えてしまった。
全く事実無根の事を言われた事にM少年はベランダに移動しむせび泣いた。
今まで親しくしてきたクラスメイトとの絆が崩れた瞬間でもあった。
その時N先生がやってきた。
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