5人が本棚に入れています
本棚に追加
小学6年となったM少年は友達が作れないほどの人間不信と人見知りに陥っていた。
「いじめられたらどうしよう?」
この気持ちが心を蝕んでいた。
話はするのだが続かない。
戦隊ヒーローが好きだったM少年は当時放送されていた百獣戦隊ガオレンジャーの絵を描いていると
「だっせぇ~。」
と笑われた。
趣味までも否定されてしまう始末。
その日から戦隊ヒーローの絵を描くのを止めてしまう。
更にその日からは暴力を振るわれるようになる。
肩が当たっただけで肩を思い切り殴られたり頭を叩かれたりした。
肩にアザが出来るほど殴られる時があった。
担任の女教師O先生に言っても改善されなかった。
痛みに耐えるしかなかった。
M少年は平和主義者であり争いが嫌いだった為言い返さない。
しかし、怒りが収まらないM少年はついに反抗する。
「肩が当たっただけでなんで殴ると?悪気がなかったから謝ってるわぁ。」
すると頭に激痛が走った。
A君は自分が持っていた鉛筆をM少年の頭に振り下ろしたのだ。
隣の2組担任のY先生に担がれて保健室に連れて行かれるM少年。
保健室から国立病院に移り何とか一命をとりとめたM少年。
A君の両親がM少年宅に謝罪に来るがM少年の心の傷は深まってしまっており夏休み終了までの間学校に行く事が出来なくなるまでになってしまったのだった。
学校に行っても1人遊びが多くなっていた、唯一楽しみなのが昼休みだ。
砂場で古墳を作ったりして遊ぶのを好んでいたM少年。
みんなからバカにされていたが夢中になれば聞こえない事を知る。
卒業前になると教室で久しぶりにガオレンジャーの絵を描く。
1人の時間はその時間しかなかったのだ。
卒業式の時は泣くに泣けなかった。
卒業と言うより開放感の方が強かったからだ。
いじめがなければ泣けたはずなのに…
最初のコメントを投稿しよう!