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暖炉に薪を足す。
オレンジ色の炎が揺らめく。
掛けておいたヤカンから湯気が出ている。
湯タンポにお湯を注ぎ入れ、バスタオルで包み佐倉の布団の足元に入れた。
さっき窓の外を見たとき、かなりの雪が積もっていた。
明け方はもっと冷えるだろう。
部屋の中に薪を運んでおいた方が良さそうだった。
裏の勝手口を出ると、屋根伝いに続くベランダの下に当たる場所に薪を積んで置いてある。
何度も往復して薪を運んだ。
外の冷気に冷えた身体を暖炉で暖めようと近付くと、佐倉がぼんやりと目を開けていた。
「悪い。起こしたか?」
佐倉はふわっと微笑む。
この微笑みに、オレは弱いのだ。
ギュッと抱き締めたくなる。
しかし、良く見ると顔が紅い。
もしかして…と額に手を当てると、とても熱かった。
やっぱり熱が上がったようだった。
昼間医師から聞いていたので慌てずに済んだ。
解熱剤を取りに行こうとしたら、佐倉がオレの服を掴んだ。
「行かないで……」
「!!」
オレは自分の耳を疑った。今……何て?
僅かに掴まれた服によって、オレの身体は固まったように動けなくなった。
佐倉の顔は熱の為に紅く、潤んだ目をしてオレを見ていた。
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