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「まぁ~、俺がいくら馴れてるとは言え、お前が…かよ…」
「馴れてる…か」
桂はニヒルな苦笑いを浮かべた。
桂は、海外生活が長いし、ファッションやデザインの業界は、ゲイやバイが多いと言っていた事がある。
東洋人の桂は童顔ではないが、西洋人からすれば可愛く見えるらしく、ひっきりなしにアプローチされたと聞いた事がある。
「お前、親には何て言うつもりなんだ?」
「もう、言ってある」
「……わかった。引き受けるよ」
握手を交わし、店の外まで見送った。
「尊、指輪って――まさか?」
席に戻ると、伊達さんが側に寄って来た。
「聞こえてたでしょ?
オレと真琴のエンゲージリング…ですよ」
「……」
いつもならからかって来るはずが、返事がないので視線をやると……
破顔して涙ぐんでいるじゃないか…
「伊達…さん?」
まさか、真琴をまだ――?
一抹の不安が過る。
「心配すんなよ。真琴君に未練があるんじゃないよ。
真琴君の喜ぶ姿が目に浮かぶよ」
伊達さんは、向かい側に座り、頬杖を点いてオレを見た。
「なぁ、今度この店で、パーティしようぜ。山中さんとか、呼べるだけ呼んで」
すっかり目がキラキラしている。
親しいみんなに、はっきりと伝える為にも必要かな…と思った。
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