1859人が本棚に入れています
本棚に追加
真琴が、いよいよ運転免許試験を受けるばかりとなった頃、桂から連絡が入った。
オレの足のギプスも取れ、車の運転に支障がない所まで回復したし、どうにか準備は整った。
文化祭当日、やっと皆から解放され、目的の場所を目指した。
「真琴を連れてきたら、案内したかった場所があるんだ」
施設の渡り廊下。
そこは、真琴の母親と出会った場所。
「素敵……」
ステンドグラスから射し込む光が、優しく真琴を包む。
「ボクの代わりに、母さんが尊を見付けてくれたんだね」
「そうだな…」
心を落ち着かせる為に、深く深呼吸をした。
真琴とオレの未来の為に考えた事を、真琴に伝えるんだ。
「真琴、オレと…家族にならないか?」
「……えっ…?」
「恋人じゃなくて、オレの生涯のパートナーに……家族になって欲しい」
真琴の手を引き、礼拝堂のドアを入る。
「わぁ~素敵」
礼拝堂に入ると、この場の雰囲気に真琴が感嘆の声をあげた。
真琴に向き直り、誓いの言葉を捧げる。
「オレは、真琴を伴侶として、一生涯愛し続ける事を誓う」
真琴の瞳から、真珠のような涙が溢れ落ち、美しさに魅入られずにはいられない。
「ボクも…尊を、一生涯…愛し…続…ける事…を誓い…ます」
愛しさが、オレを満たしていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!