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尊が、大槻の家に向け車をスタートさせた。
いよいよかと思うと、そわそわして落ち着けない。
考え出すと緊張感が高まり、身体がガチガチに強張ってしまう。
考えなくていい事まで気になり出し、不安感が押し寄せる。
挨拶も出来なかった初対面。
ご両親にとって大事な、尊を巻き込んでしまった負い目。
強張ってしまったボクの身体。
動悸がする……
頭がクラクラして、息が苦しい。
どうしたんだろう…
「真琴!!」
「尊…苦し…」
車が路肩に停められ、尊がボクを抱き締める。
「真琴、ゆっくり息をするんだ。オレの呼吸に合わせるんだ」
尊の呼吸を感じ、リズムを合わせる。
「ゆっくり…ゆっくり息をするんだ」
尊に抱き締められ、呼吸を合わせようとしても、息苦しさに呼吸が早くなるのを止められない。
すると、息をしようと喘ぐボクを強く抱き締め、尊がキスして来た。
深いキスに息が出来ない。
余計と苦しくなりそうなのに、身体が楽になった。
なんで…?
身体の力が抜けたボクを、尊はやっと放してくれた。
「ボク…どうしたの?」
「過換気だよ。酸素の吸い過ぎで、血液中の酸素のバランスが崩れるんだ」
尊が、大きく「はーっ」と溜め息をついた。
「……真琴、大槻の家に行くの…負担か?」
「えっ?」
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