1859人が本棚に入れています
本棚に追加
/276ページ
………………………………………
腕の中で、くったりと動かない真琴。
「例え反対されても――真琴と離れないからな」
うるうるした目で、真琴がオレを見詰める。
「これからの人生を、自分の幸せの為に生きるって決めたんだ。
オレの幸せは、真琴と生きて行く事だから。親父達にもう遠慮はしない」
泣きながら抱き付く真琴が愛しくて…もう一度お互いの身も心も満たし合った。
真琴の体温を感じながら、緊張から解放されていった。
高速道路の流れにのって車を走らせながら、大槻の親父や兄貴の話をした。
仕事の事や家族構成、昔のエピソードだの交えて話している間に、予定のインターに着いた。
かつての見慣れた景色に変わって行く。
「この角を曲がってすぐだから…」
「うん。いよいよだね…あっ!」
緩かな角を曲がると、家の門の所に大槻の親父や兄貴の姿があった。
オレの車が見えると、お袋が笑顔で手を振る。
みんなが横に退いて、やっと中に入って車を停めた。
窓越しにみんなの笑顔が見える。
「遅かったなー。ずっと首を長くして待ってたんだぞ」
いつも、割りと無口な親父の一言に胸が熱い。
.
最初のコメントを投稿しよう!